更新日2023年10月01日
トラクターの小型、中型、大型など分類には、明確な馬力の境界線はありません。馬力がおよそ25馬力以下のトラクターを「小型トラクター」と呼ぶことが多いです。
・圃場面積が小さめな農家の方
1~5haほどの規模の農家の方やハウス栽培で農業を営まれている方には、小型トラクターがオススメです。
圃場面積に合ったトラクターを選ぶことで費用対効果を高めることができます。
・耕運機をメインで使用されている方
耕運機や管理機を使用した農作業から、さらに作業効率を高めることを考えるなら、小型のトラクターの導入がオススメです。
歩きながらの作業から座って運転する作業へと変わるので、労力の大幅な軽減にもなります。
国内では兼業農家や小規模で農業を営む方も多いため、小型トラクターは日本各地で活躍しています。
小型トラクターの魅力は安く購入できるところにあります。
安いといっても新品価格は150万円~300万円程となるので高額には変わりませんが、中型、大型に比べると大幅に購入のコストを抑えることができます。
初期コストを掛けたくない人が、まず最初に手を出しやすいのが小型トラクターです。
小型トラクターは、その名の通り大型トラクターに比べコンパクトなサイズのため、倉庫が大きくなくても屋内で保管が容易です。
トラクターは、あらゆる農作業に耐えられるように頑丈にできているとはいえ、屋外で雨ざらしの状態では劣化スピードはかなり早くなってしまいます。
トラクターに限らず農機具は、屋内での保管が推奨されていますので、保管スペースを取らないのは小型ならではのメリットです。
トラクターは使用する圃場の地形や大きさによって、適切なサイズのトラクターが変わります。
広大な圃場なら大型トラクターですが、狭い場所や複雑な地形の圃場なら小型トラクターの方が有利です。
国内では、小規模~中規模の農家が多いため、小型トラクターの小回りの良さが活きる場面が多いです。
小型トラクターは車体の高さが低いため、乗り降りがしやすかったり、運転中の視点も高すぎないため操作がしやすいのが特徴です。
そして、運転席周りのレバーやボタンなどはシンプルな設計が多く、農業が初めての方でも比較的簡単に運転することができるので安心です。
小型トラクターだからといって侮ってはいけません。
近年の小型トラクターは、オプションを付けなくても便利な機能が標準装備として備わっています。
自動水平機能や倍速ターンなどをはじめ、各メーカーでは様々な便利な機能を搭載しています。
また、小型でありながらエンジンはパワフルかつクリーンな排気のため、ハウス内の作業でも安心で快適です。
小型であるデメリットの一つは、広大な面積の農作業には小型トラクターは適さないということです。
耕うん作業を例に挙げると、小型トラクターに付いている小さなロータリーでは耕うん幅が狭く、圃場が広くなればなるほど途方もない作業時間となってしまいます。
作業効率を上げるために購入したトラクターなのに、かえって作業効率が悪くなっては元も子もありません。
圃場の広さに対して適したトラクターを使用することがとても大切なので、購入する際は作業面積を考慮したうえでトラクターを選びましょう。
冒頭でも言ったように、小型トラクターは馬力が小さいトラクターを指します。
デメリットの二つ目は、馬力が小さいことで取り付けられる作業機の種類が限定されることになります。
トラクターの作業機には様々な種類があり、それぞれに適した馬力でないと正常に動作しなかったり、そもそも取り付けられない作業機があったりします。
トラクターと作業機をつなぐリンク機構は2点リンクと3点リンクに分かれていて、馬力が大きいトラクターや作業機のほとんどは3点リンクとなっています。
20馬力未満の小型トラクターでは、2点リンクが多いため、対応している作業機の種類は少ないのです。
多くの作業機を使う予定があるのなら、小型トラクターの中でも3点リンクのものを選ぶようにしましょう。
「狭い圃場だから」「購入コストを抑えたいから」ということで小型トラクターを選びたいところですが、これだけの理由で購入してしまうと失敗する場合があります。
トラクターを購入するにあたって一番重要なのは、大前提として「まずは農作業がしっかりを行えること」「作業効率や生産性を上げること」です。
そのため、トラクターを購入する前には、トラクターでどのような作業を予定し、どのような作業機が必要なのかをあらかじめ把握しておくことが大切になります。
小型トラクターの中から選ぶのであれば、最低でも16馬力以上のトラクターがベターです。
リンク機構にも関わる話ですが、16馬力以上のトラクターから3点リンク対応のシリーズがあるので、15馬力以下の小型トラクターとは対応する作業機の種類に雲泥の差があります。
もっと多様な作業機を取り付ける予定があるのなら、25馬力~35馬力のトラクターがオススメになります。
国内ではこの馬力帯のトラクターが多く使用されていて、対応する作業機の種類も豊富です。
初めてトラクターなどを買い揃えるときは、「必要な農作業に対応した作業機を選んでからトラクターを選ぶ」という順番で検討すると失敗はしにくいはずです。
土質(どしつ)というのは、その名の通り土壌の性質のことをいいます。
ここで重要になってくるのが、圃場の土質が「粘土質」か「それ以外」かということです。
粘土質の土は非常に重く乾燥すると硬くなる性質があるため、耕うんする際には大きなパワーを要します。
もし、馬力が低いとロータリーの爪が正常に作動せず、エンストを引き起こしてしまうことがありますので注意が必要です。
馬力の目安となるのが最低でも25馬力以上、もしくは30馬力以上あるトラクターだとより安心です
ちなみに、粘土質以外の土質なら、馬力が小さい小型トラクターでも使用できます。
トラクターを購入した後に、失敗したとならないように、あらかじめ圃場の土質を調べておく必要があります。
▼トラクターの選び方についてはコチラ
ここで、国内のメーカーから販売されている最新の小型トラクターをご紹介させていただきます。(馬力最小のシリーズと25馬力前後のシリーズ)
「Bull Star EXTRA」
出典:クボタ トラクター一覧「Bull Star EXTRA」
型式:JB11X
馬力:10.5馬力 (~19馬力)
装着方式:2点リンク
機体寸法(mm):全長2005/全幅880~940/全高1780
「Slugger」
型式:SL24
馬力:24馬力
装着方式:3点リンク
機体寸法(mm):全長3060/全幅1380/全高1990
「GKシリーズ」
型式:GK13
馬力:13馬力 (~18馬力)
装着方式:2点リンク
機体寸法(mm):全長2050/全幅920/全高1840
「YT2Aシリーズ」
型式:YT223A
馬力:23馬力 (~33馬力)
装着方式:3点リンク
機体寸法(mm):全長2810/全幅1150/全高1905
「トラQ/TQ3シリーズ」
型式:TQ143
馬力:14馬力 (~17.5馬力)
装着方式:2点リンク(TQ143HXのみ特殊3点リンク)
機体寸法(mm):全長2050/全幅1000/全高1810
「RESPA5/RTS5シリーズ」
型式:RTS255
馬力:(16.5馬力~) 25馬力
装着方式:3点リンク
機体寸法(mm):全長2810/全幅1330/全高1985
「GFシリーズ」
型式:GF130A
馬力:13馬力 (~17馬力)
装着方式:2点リンク
機体寸法(mm):全長2120/全幅950/全高1740
「GJシリーズ」
型式:GJ240
馬力:24馬力
装着方式:3点リンク
機体寸法(mm):全長3030/全幅1310/全高1935
・小型トラクターのメリットは、トラクターの中でも比較的安価で購入でき、コンパクトで場所を取らず、小型でも性能は高く扱いやすい
・小型トラクターのデメリットは、広い圃場の作業には不向き、馬力が小さいものは特に対応している作業機の種類が少ない
・トラクターを選ぶポイントは、農作業で使用する作業機に必要な馬力を把握、圃場の土質が粘土質かそれ以外かを把握しておくこと
トラクターは、より高性能な中型・大型のトラクターを持つに越したことはないですが、圃場や状況によっては性能やパワーを持て余すこともあります。
維持費なども大型になればなるほどかかりますので、小型で十分な環境なら、あらゆるコストが抑えられる小型トラクターをオススメします。
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代表取締役 道地竜史
農機具買取モノリーフ代表取締役
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