トラクターが加入できる保険・共済の種類

更新日2023年09月18日

トラクターが加入できる保険・共済の種類

 

トラクターは自動車やバイクと同じように保険に入ることができます。

しかし、まったく同じというわけではなく、トラクターなどの農耕車や農機具に合わせた保険やプランがあります。

今回はトラクターが加入できる保険・共済についてどのようなものがあるのか解説してきます。

 

 

トラクターの保険の必要性

保険

 

公道を走行中のトラクターの交通事故

トラクターは公道を走行できる農耕車の一つです。

自動車に比べ走行速度が遅いため交通事故は少ないものですが、事故を起こしてしまう可能性は十分にあります。万が一、事故を起こした場合、被害者への損害賠償はかなり高額となってしまいますので、保険の加入はほぼ必須といえます。

また、保険に入っていれば相手方への損害賠償だけでなく、自身のケガの治療費用やトラクターの修理費用などの補償も受けることができます。

いつ事故が起こるかわかりませんので、保険に入って万が一に備えましょう。

 

農作業中のトラクターからの転落や事故

毎年、トラクターなどの乗用型の農機具絡みの事故が後を絶ちません。

その中でも多いのが、農作業中の事故になります。トラクターからの転落、下敷き、回転部などへの巻き込みなどが挙げられます。

特に高齢者の事故が多い傾向にありますが、若い人でも事故が起こらないとは限りません。

事故によるケガや亡くなるリスクに備えて、自身や家族を守るためにも保険に入っておくことが大事になります。

 

災害などによるトラクターの破損や盗難

走行中、農作業中などの事故や火災、台風など自然災害によって損傷したトラクターに対しての保険があります。保険に加入することで、修理費用や買い替えるための資金などの補償をしてくれます。

また、近年増えつつあるトラクターの盗難に対する保険もあります。保管状況が悪いと特に狙われやすい傾向にあるので、保険に入るよりも以前に、まずは屋内で保管したり鍵を抜いておいたりして対策をすることがとても大事です。

ですが、それでも盗難の被害に遭う可能性がありますので、念のため保険に入ることを検討してみましょう。

 

 

トラクターと自賠責保険の関係

自動車事故

 

自賠責保険について

自賠責保険は、交通事故で相手にケガや死亡させてしまった場合、相手への人身損害賠償のみを補償する保険になります。

そのため、車両の損害の補償や、事故を起こした自身のケガ等に対しての保険金は支払われません。

自賠責保険は、すべての自動車やバイクなどで加入が義務づけられている強制保険です。

 

トラクターの場合の自賠責保険は?

トラクターのような農耕車は、道路運送車両法によって分類される「大型特殊自動車」にあたるものには自賠責保険の加入の義務があり「小型特殊自動車」にあたるものは加入対象外となります

 

▼道路運送車両法

大型特殊自動車=最高速度が35km/h以上

小型特殊自動車=最高速度が35km/h未満

※道路運送車両法と道路交通法で分類される大型特殊自動車・小型特殊自動車とは条件が異なります。間違いやすいのでご注意ください。

 

実は国内のほとんどのトラクターは、道路運送車両法では小型特殊自動車となります

というのも、最高速度が35km/h以上出るトラクターは海外製の一部のトラクターのみで、日本で流通しているトラクターのほとんどが35km/h未満だからです。

そのため、多くは自賠責保険に加入できないトラクターとなります

 

しかし、自賠責保険の加入の義務がないからといって、何一つ保険に入らないのは要注意です。もしもの時に備えて、他にどのような保険があるのか見ていきましょう。

 

 

トラクターや農業に関する保険・共済の種類

横転したトラクター

 

自動車保険

 

自動車保険は、交通事故で起きたあらゆる損害の補償をしてくれる保険になります。

こちらは任意保険ですが、自動車などでは自賠責保険とともに加入することが一般的です。

トラクターも自動車と同じように保険会社から自動車保険に加入することができます。

 

自動車保険の主な内容

対人賠償保険

対人賠償保険は、人身事故により他人を死傷させ法律上の損害賠償責任を負った場合に、相手方に保険金が支払われる保険です。

自賠責保険も相手方の治療費や慰謝料を補償する面では同じですが、保険金の上限や適用の範囲などがより広くなったのが対人賠償保険になります。

万が一の事故で、損害賠償額が億単位となることも珍しくもありませんので、対人賠償保険の保険金額の限度額は無制限にしておくのが一般的です。

 

対物賠償保険

対物賠償保険は、契約車両の事故により他人の車や建物などに損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる保険です。

これはガードレールや電柱などの国や市区町村が所有するものに損害を与えた場合でも同様です。

対物賠償保険についても、保険金額の限度額は無制限にしておく方が安心です。

 

人身損害保険

人身損害保険は、事故を起こした運転者自身や同乗していた家族が死傷した場合に、治療費や休業損害などの補償が支払われる保険です。

対人・対物賠償保険は他人の相手方への補償が対象となることに対し、人身損害保険は自分や家族といった契約者の身内の者が対象となります。

人身損害保険の保険金額は一概に無制限がいいというわけではなく、家族構成やその他の加入している生命保険などの状況に応じて3,000万円や5,000万円までとする人が多い傾向にあります。

 

車両保険

車両保険は、事故などで損傷してしまった車両の修理費用や買い替えにかかる費用の補償が受けられる保険です。

これには、事故だけでなく火災、台風などのよる損傷や、盗難の被害に遭った場合などでも保険金が支払われます。

保険会社によって、補償の範囲が異なる場合がありますので、事前にしっかりと調べることが大事です。

 

 

農業共済/NOSAI(農済)

 

農業共済は、国と農家が掛金を出し合い共同準備財産をつくり、主に自然災害などによる収穫量の減少や損失に対する補填に、共同準備財産から共済金が支払われる制度となります。

農作物や家畜などの被害以外にも、建物や農機具の被害に対しての補償もあります。

全国農業共済組合連合会(NOSAI全国連)が実施しており、お近くの農業共済組合で加入申請することができます。

加入の条件としては農業者であることが前提です。(地域によってさらに細かな条件があるところもあります)

 

農業共済の内容一覧

共済の対象 対象の災害等
農作物共済 水稲、陸稲、麦 風水害、干害、冷害、ひょう害、火災、病虫害、鳥獣害など
家畜共済 牛、豚、馬 家畜の死亡、病気、けがなど
果樹共済 うんしゅうみかん、リンゴ、ぶどう、ももなど 風水害、干害、寒害、ひょう害、火災、病虫害、鳥獣害など
畑作物共済 大豆、小豆、ばれいしょなど 風水害、干害、冷害、ひょう害、火災、病虫害、鳥獣害など
園芸施設共済 ビニールハウスやガラス室、付帯施設、施設内農作物など 風水害、ひょう害、雪害、火災、車両などの接触、病虫害、鳥獣害など
建物共済 建物、建物内の家具や農機具、収容農産物など 火災、落雷、盗難、地震、台風、土砂崩れ、車両などの接触など
農機具共済 トラクター、コンバイン、田植機など 火災、自然災害、衝突、接触、墜落、転覆など

 

トラクターに関する農業共済

農機具共済

トラクター、コンバイン、田植機などの農機具が共済の対象となります。

農機具共済の「農機具損害共済」では、農作業中や格納中に起きた農機具の火災、自然災害、衝突、接触、墜落、転覆などの事故による損害を補償対象としています。

地域によっては、損害共済の対象となる災害を区分した「農機具火災共済」、「農機具総合共済」としている場合もあります。

農機具共済は、自動車保険でいうところの「車両保険」に近い補償内容となっています。

 

その他の農業に関する保険

収入保険

収入保険は、農業者の経営努力では避けることができない自然災害やあらゆる要因で収入が減少した部分を補償する保険になります。

こちらも全国農業共済組合連合会(NOSAI全国連)が実施している保険制度です。

農業共済と似ている部分がありますが、異なる点は、コロナ禍による影響、ケガや病気、取引先が倒産などにより収入が減少した場合にも対象となることです。

また、収入保険ひとつですべての農作物が共済の対象となり、農業共済の対象でない農作物もカバーできます。(肉用牛、肉用豚などは対象外)

加入方法は、農業共済と同様に、お近くの農業共済組合で加入申請できます。

ただし、加入には条件があり、青色申告を行っている農業者(個人・法人)が対象となるので覚えておきましょう。

 

公益社団法人 全国農業共済協会 「NOSAI/農業共済」についてはコチラ

 

 

JA共済

 

JA共済は、「ひと・いえ・くるまの総合保障」とし、生活に潜むあらゆるリスクに対して幅広く保障をしてくれるものになります。

JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)がサービスを提供しており、NOSAI全国連とは名前が似ていますが別組織となります。

営利を目的としていないので、掛金は比較的安いのが特徴です。

JA共済へは誰でも加入ができ、お近くのJAで加入申請ができます。

(JAの組合員となる場合には別途申請と出資金が必要になりますが、組合員にならずとも員外利用として出資金不要でJA共済への加入が可能です)

 

ひと・いえ・くるまの総合保障

〇「ひと」-終身、医療、がん、介護、老後、学資などの人についての保障

終身共済、定期生命共済、医療共済メディフル、がん共済、介護共済、こども共済、ファーマストなど

〇「いえ」-火災・盗難などの事故や台風・洪水・地震などの災害で損害を受けた建物や家財についての保障

建物更生共済「むてきプラス 建物」、建物更生共済「むてきプラス 家財」、火災共済

〇「くるま」-交通事故による賠償や自身や家族のケガ、損傷した車の修理費などについての保障

自動車共済クルマスター、自賠責共済

 

トラクターに関するJA共済

自動車共済

自動車共済では、自動車だけでなくトラクターやコンバインなどの農耕車も対象となります。

交通事故による相手方への保障(対人賠償・対物賠償)、人身損害保障、車両保障などがあり、一般的な自動車保険に近い保障内容になっています。

また、車両保障では事故だけでなく、トラクターの盗難や台風などの自然災害による損害も保障しています。

JA共済とあって対応する農耕車の種類は多く、JA共済ならではの割引や特約があるのが魅力の一つです。

 

農業に関するJA共済

建物更生共済「むてきプラス」

建物更生共済「むてきプラス」では、火災や盗難、台風・洪水・豪雪・地震などで損害を受けた建物や家財を保障しています。

一戸建てやマンションはもちろん、店舗・事務所・農業用施設などの建物や、家具・衣類・電気器具などの家財などが対象になります。

また、建物や家財の損害の保障だけでなく、契約した建物について発生した火災や台風などの自然災害によってケガをした場合には、障害共済金を受け取ることができます。

 

農業者賠償責任共済「ファーマスト」

農業者賠償責任共済「ファーマスト」は、農地や施設内での事故や農作業中の過失による賠償責任、販売後の生産物に生じた賠償責任などの農業に関するあらゆる賠償責任を保障しています。

▼賠償責任が発生する事例

「施設賠償」

・刈払機などで草刈中に小石がはねて他人の自動車に傷をつけた

・散布した農薬が誤って隣のほ場に飛散し、他人の農作物が出荷できなくなった

「生産物賠償」

・直売所で販売したジャムなどの加工品を食べた人が食中毒を起こした

「保管物賠償」

・他人から預かっていた農機具を誤って破損させた、盗難された

「生産物回収賠償」

・販売したジャムなどに異物混入があったため回収した

 

全国共済農業協同組合連合会「JA共済」についてはコチラ

 

 

トラクターの保険選びのポイントや注意点

財布を持った女性

 

保険や共済の種類は様々なものがありますが、どれにすれば良いか悩みますよね?

しかし、一概に「これがオススメ!」というのは難しく、現在の状況や今後起こりうる事故・損害は人によって異なるため、皆さんご自身で判断していただくほかありません。

複数の保険会社を比較して、自分に合った保険を見つけましょう。

比較する主なポイントをまとめましたのでご紹介します。

 

補償内容

保険選びで一番大事なのが補償内容です。

交通事故に対する保険の場合、保険会社の自動車保険とJA共済の自動車共済がありますが、大部分は似た内容でも補償の範囲や特約・オプションの種類などが異なってきます。

まずは、目的に合った補償内容なのか、補償の範囲などには問題ないかを比較してみましょう。

 

保険料と保険金

補償内容も大事ですが、それに伴うお金も重要な比較対象です。

保険料はできるだけ安く、受け取れる保険金はできるだけ高いところを選びたいものです。

保険料の割引を受けられるプランなどもあり、さらにお得になる場合もあるので、見積りを出してもらい隅々までチェックしましょう。

 

ロードサービスや事故対応

夜間や休日でも迅速に対応してくれるのか、レッカーが無料の距離は何㎞までなのか、宿泊費や帰宅のための交通費はいくらなのかなどは予め確認しておきたいポイントです。

そして、事故対応は、自動車保険の一番苦情が多い部分といっても過言ではありません。

担当者によってサービスの質が大きく異なる場合があり、トラブルが起こったり、納得のいかない結果になることがあります。

そのような事態をできるだけ回避できるように、事故対応については次に紹介する「口コミや評判」で比較することをオススメします。

 

口コミや評判

インターネットで保険会社の口コミや評判を調べると、利用者した人にしかわからない実際のサービス内容を確認することができます。

口コミサイトなどでは、担当者の対応が悪かったり、保険金の支払いがされなかったなどの事例が紹介されています。

もちろん全ての評判が事実とは限りませんが、悪評が多いか少ないかは大きな情報であり、サービスの悪い保険会社を選ばないための指標となります。

保険会社選びを失敗しないためには、多少の時間がかかったとしてもしっかり調べ慎重に選ぶことが大切です。

 

 

まとめ

 

▼トラクターで走行時の交通事故による相手方や自身の損害を補償する保険

自動車保険、自動車共済

▼事故、火災、盗難、台風などの自然災害によるトラクターの損害を補償する保険

車両保険、農機具共済、車両保障(自動車共済)

▼農機具や農作物の倉庫、ビニールハウスなどの施設の損害を補償する保険

建物共済、建物更生共済むてきプラス

▼農作物への損害、農業における様々な賠償や損害を補償する保険

農業共済、収入保険、農業者賠償責任共済「ファーマスト」

 

トラクターや農業に関する様々な場面において賠償のリスクや損害を被る可能性が潜んでいます。事故、火災、盗難、自然災害などは突然やってきますので、万一に備えて保険に入っておくことが大切です。

保険選びの際は、できるだけ複数のものを比較しましょう。補償内容や範囲、保険料、口コミなどを加味して、最大限補償を受けることができるように、自分に合った保険を選んでください。

 

 

 

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代表取締役 道地竜史
農機具買取モノリーフ代表取締役
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