更新日2023年06月30日
今回は、トラクターが公道で走行するうえで必要な免許や、その取得方法などをお話していきたいと思います。
これから農業を始める方やトラクターを買い替える方などは、ぜひご参考ください。
トラクターを私有地内で走行するなら免許は必要ありません。
ですが、農道は公道扱いとなりますので、保管場所から田んぼや畑までを行き来する際には免許が必要になります。
公道を走行する場合、道路交通法により「小型特殊自動車」に分類されるものは「普通免許」または「小型特殊免許」が必要です。
そして「大型特殊自動車」に分類されるものは「大型特殊免許」が必要になります。
もし違反した場合は、無免許運転とみなされ、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
そして、「違反点数25点により一発免許取り消し」と「その後2年間は免許を再取得できない」ことになります。
トラクターを運転できないことは、農家の方にとって死活問題となりますので、自分にはどの免許が必要なのか理解し取得することが大切です。
道路交通法により、トラクターの寸法・最高速度によって「小型特殊自動車」か「大型特殊自動車」に分類され、必要な免許が異なります。
▼小型特殊自動車(道路交通法)
・長さ4.7m以下
・幅1.7m以下
・高さ2.0m以下(ヘッドガード等を備えた小型特殊自動車で、ヘッドガード等を除いた部分の高さが2.0m以下のものについては、2.8m以下)
※ロータリーやハローなどの作業機を付けて走行する場合、装着時のサイズも含む
・最高速度15km/h以下
上記の寸法と最高速度がすべて基準内のものは、小型特殊自動車とされ、小型特殊免許の取得が必要。
なお、普通免許をすでに持っている方は、小型特殊免許は普通免許の下位免許となりますので、普通免許のみで小型特殊自動車の走行が可能です。
▼小型特殊自動車(道路交通法)
・長さ4.7m以下
・幅1.7m以下
・高さ2.0m以下(ヘッドガード等を備えた小型特殊自動車で、ヘッドガード等を除いた部分の高さが2.0m以下のものについては、2.8m以下)
※ロータリーやハローなどの作業機を付けて走行する場合、装着時のサイズも含む
・最高速度15km/h以下
上記の寸法もしくは最高速度がどれか1つでも超える場合は、大型特殊自動車とされ、大型特殊免許の取得が必要。
大型特殊免許を取得すると、下位免許として小型特殊免許も含まれるので、小型特殊自動車も走行が可能です。
ただし、大型特殊免許のみでは普通自動車は走行できませんので、ご注意ください。
16歳以上であること。
視力が両目で0.5以上。
(一眼が見えない場合、他眼の視野が左右150度以上で視力が0.5以上であること)
赤色、青色、黄色の識別ができること。
・運転免許試験場(運転免許センター)
取得方法は、運転免許試験場で適性検査・学科試験を受け、合格後の技能講習を受ければ小型特殊免許が交付されます。
自動車学校では小型特殊免許のコースがほとんどないため、直接、運転免許試験場に行くのが一般的です。
また、すでに普通免許を持っている場合、新たに小型特殊免許を取る必要がありませんので、小型特殊免許から取得する人は少ないです。
3,550円
(うち、受験料1,500円、免許証交付料2,050円)
18歳以上であること。
視力が両目で0.7以上かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること。
(一眼の視力が0.3に満たない、若しくは一眼が見えない場合は、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること)
赤色、青色、黄色の識別ができること。
・自動車学校
自動車学校に入学し、大型特殊免許のコースで学科講習、技能講習を受けます。
普通免許を取得済みかそうでないかで、講習内容などが異なります。
(価格は地域や自動車学校によって大きく異なります)
普通免許を持っていると、講習の時間が短くなり早く大型特殊免許を取得でき、費用も抑えられます。
最終日の卒業試験に合格した後、免許交付のため運転免許試験場へ向かいます。
・運転免許試験場(運転免許センター)
運転免許試験場で適性検査・技能試験・学科試験を受け、それらに合格した後、大型特殊免許が交付されます。
自動車学校などで講習を受けてから試験に臨むことが一般的ですが、直接受験することも可能です。
直接受験する場合、一発試験となり過去の例からみても合格率はかなり低いので、自動車学校などで講習を受けてから受験することをおすすめします。
なお、自動車学校の大型特殊免許コースを卒業した方や普通免許以上を取得済みの方は、すでに合格済みにある技能試験・学科試験については免除されます。
3,800円(指定自動車学校を卒業した場合)
(うち、受験料1,750円、免許証交付料2,050円)
6,100円(直接受験の場合)
(うち、受験料2,600円、試験車使用料1,450円、免許証交付料2,050円)
こちらはトラクターなどの農耕車に限り公道走行が可能という大型特殊免許で、農家の方には十分な免許になります。
取得条件は大型特殊免許と同じで、場所は「農業大学校」や「JA」で取得できます。
農業大学校は入学した生徒でなくても、申込可能です。
期間は3~4日間程度で、期間内毎日通える方を対象とした場合が一般的です。
費用は数千円~数万円と自動車学校に比べお手頃です。(地域や実施時期より値段は変わります)
農耕車限定免許は、実施期間内に時間の余裕があり、農耕車しか運転しないという方にはオススメの取得方法です。
しかし、申込期間や募集人数の制限等もあるため、いつでも受けられるものではありません。
利用する際は、各地域の農業大学校、JAに問い合わせして確認しましょう。
ここでコンバインの免許についてもご紹介させていただきます。
免許に関しては、基本的にトラクターと同じです。
コンバインも、私有地内の走行であれば免許は必要なく、公道の走行には免許が必要になります。
【必要な免許】
▼小型のコンバイン(小型特殊自動車)
小型特殊免許、普通免許、大型特殊免許、大型特殊免許(農耕車限定)のいずれかが必要
▼大型のコンバイン(大型特殊自動車)
大型特殊免許、大型特殊免許(農耕車限定)のどちらかが必要
【小型・大型の分類】
コンバインの寸法と速度が、すべて下記の基準内であれば「小型」、一つでも上回る項目があれば「大型」に分類されます。
・長さ4.7m以下
・幅1.7m以下
・高さ2.0m以下
・最高速度15km/h以下
【免許の取得場所】
▼小型特殊免許
運転免許試験場
▼普通免許
自動車学校、運転免許試験場
▼大型特殊免許
自動車学校、運転免許試験場
▼大型特殊免許(農耕車限定)
農業大学校、JA
ここからはトラクターと異なる点であり、重要なお話になります。
コンバインには、道路運送車両法の保安基準に満たしていないものもあるため、すべてのコンバインが公道走行できるわけではありません。
まず、コンバインには自脱型コンバインと普通型コンバインの2種類がありますが、「普通型コンバイン」では保安基準に適合する装備がないため、公道を走行することができません。
対して、「自脱型コンバイン」には、保安基準に適合する装備をしているので、機種に応じて公道の走行が可能です。
ただし、結束機やキャノピーなどのアタッチメントを付けたままでは保安基準に適合しないため、必ず外してから走行しなければなりません。
また、自脱型コンバインであってもキャビン仕様の機種によっては公道を走行できないものがあります。
これらの場合、トラックやトレーラーなどに載せ、ほ場まで運び込むようにしましょう。
もし、お手持ちのコンバインが公道で走れるかどうかわからない場合は、各コンバインの取扱説明書やメーカーに問い合わせて確認してください。
自脱型コンバインは公道を走行できるとはいえ、硬い道路との相性が悪いため、クローラーを傷付きやすく劣化を早める原因にもなります。
少しでも長く使用するためには、ほ場までコンバインを運搬するほうが望ましいです。
コンバインで公道を走行する際は、走行のルールを守り十分にお気を付けください。
今回は、トラクターの免許の種類や取得方法をお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか。
まずは、ご自身のトラクターにどの免許が必要なのか把握することが大切です。
大型特殊免許が必要なトラクターと気づかず、小型特殊免許または普通免許で公道走行した場合も無免許運転扱いとなり、重い罰則が科せられるのでしっかり確認しておきましょう。
普通免許を持っていることで、小型特殊免許では新たに取得はいらず、大型特殊免許では効率よく取得することができます。
そして、大型特殊免許があればどんなトラクターでも運転でき、トラクター購入の選択肢が増え、農作業の効率化が図れます。
普通免許や小型特殊免許をお持ちの方は、これを機に大型特殊免許を取得してみるのもいいかもしれませんね。
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代表取締役 道地竜史
農機具買取モノリーフ代表取締役
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