更新日2023年09月25日
単位:1,000円
順位 | 国 | 輸出額 ※1 | 地域 |
1位 | アメリカ | 189,074,502 | 北米 |
2位 | 韓国 | 35,146,695 | アジア |
3位 | カナダ | 19,273,044 | 北米 |
4位 | タイ | 16,678,178 | アジア |
5位 | フランス | 13,565,445 | ヨーロッパ |
6位 | オーストラリア | 9,865,462 | オセアニア |
7位 | オランダ | 8,759,048 | ヨーロッパ |
8位 | イギリス | 6,519,775 | ヨーロッパ |
9位 | 台湾 | 5,315,613 | アジア |
10位 | トルコ | 4,251,320 | ヨーロッパ |
11位 | 中国 | 4,027,307 | アジア |
12位 | ドイツ | 3,515,254 | ヨーロッパ |
13位 | ポーランド | 3,076,818 | ヨーロッパ |
14位 | イタリア | 3,010,007 | ヨーロッパ |
15位 | ベトナム | 2,966,153 | アジア |
16位 | コロンビア | 2,651,961 | 中南米 |
17位 | メキシコ | 2,536,460 | 中南米 |
18位 | ベルギー/ルクセンブルク | 2,174,580 | ヨーロッパ |
19位 | マレーシア | 1,813,198 | アジア |
20位 | ニュージーランド | 1,646,778 | オセアニア |
参考:一般社団法人 日本農業機械工業会 統計資料 「国別輸出統計 2022年(令和4年)」
※1 農具や農業機械の部品などの輸出を含めたトータルの輸出額
アメリカへの農機具の輸出額は約1,890億円で、全世界の約半分を占める割合となります。
アメリカの主な農産物はトウモロコシ、大豆、小麦などです。
農業大国であるアメリカのトウモロコシと大豆の生産は、世界第1位の生産量を誇ります。
また、広大な土地を活かした畜産業も盛んで、牛肉、鶏肉でも生産量世界1位となっています。
アメリカへの農業機械輸出額ランキング(2022)
単位:1,000円
順位 | 機種 | 輸出額 |
1位 | トラクター | 171,921,968 |
2位 | 刈払機 | 3,661,953 |
3位 | 芝生刈込機 | 1,241,117 |
4位 | チェーンソー | 677,931 |
5位 | 耕運機 | 632,969 |
アメリカへのトラクターの輸出額は約1,719億円。
輸出されている農業機械の中では、トラクターの輸出額がダントツの1位で、全体の約9割を占めています。
アメリカへの輸出トラクターの内訳(2022)
単位:1,000円
馬力 | 台数 | 輸出額 |
約24.5馬力以下 | 23,740 | 30,524,163 |
約24.5馬力超 約30馬力以下 | 17,801 | 26,270,046 |
約30馬力超 約50馬力以下 | 12,292 | 25,551,763 |
約50馬力超 約102馬力以下 | 22,824 | 77,498,404 |
約102馬力超 約176馬力以下 | 1,703 | 12,077,592 |
約176馬力超 | ||
合計 | 78,360 | 171,921,968 |
輸出台数で比較すると、アメリカへは約24.5馬力以下のトラクターが一番多く輸出されています。
アメリカは大規模な農家が多いため、小型のトラクターの需要は少ないと思われがちですがそんなことはありません。
小~中規模農家の農業用としてだけでなく、造園や芝刈りなどの用途でも日本の小型のトラクターが活躍しています。
また、クボタは北米の40馬力以下のコンパクトトラクター市場でシェア40%を獲得しています。
韓国の主な農産物は米で、イチゴやミカンなどの果物類も多く生産されています。
その他には、キムチの材料ともなる白菜やニンニク、キャベツなどの生産も盛んです。
日本と似た気候ということもあり、農産物も近いものになっています。
韓国への農業機械輸出額ランキング(2022)
単位:1,000円
順位 | 機種 | 輸出額 |
1位 | コンバイン | 10,947,072 |
2位 | トラクター | 8,937,038 |
3位 | 播種機、植付機、移植機 | 8,005,131 |
4位 | 刈払機 | 1,202,980 |
5位 | 草刈機 | 812,653 |
韓国ではコンバインの輸出額が約109億円となり、農業機械別で1位となりました。
やはり米作りが盛んということもあり、コンバイン、トラクター、移植機(田植機を含む)の輸出が上位を占めています。
日本製より韓国製の製品のほうが安価なものが多い中、日本の製品は耐久性や信頼性の高さが評価され選ばれています。
カナダの主な農産物は、小麦、大麦、トウモロコシなどの穀物が中心です。
そして、菜種は世界でトップクラスの生産量を誇ります。
カナダへの農業機械輸出額ランキング(2022)
単位:1,000円
順位 | 機種 | 輸出額 |
1位 | トラクター | 17,791,249 |
2位 | 除雪機 | 508,387 |
3位 | 芝生刈込機 | 355,457 |
4位 | 耕運機 | 168,367 |
5位 | 刈払機 | 52,770 |
カナダへの輸出額1位となった農業機械はトラクターで約178億円となります。
アメリカ同様にトラクターの輸出額が約9割を占めています。
また、カナダは世界的にも積雪量が多い国のため除雪機の需要が高く、2022年では日本からの輸出している除雪機の約1/5はカナダに輸出されています。
タイの主な農作物は、米、サトウキビ、天然ゴム、キャッサバ(タピオカの原料)などになります。
そして、2021年の天然ゴムの生産量では、世界1位のシェアを獲得しています。
タイの国土面積は日本の1.4倍に対して農地面積は4.3倍とあって、タイは農業が盛んな世界有数の農業大国です。
生産された農作物の多くは海外に輸出されています。
タイへの農業機械輸出額ランキング(2022)
単位:1,000円
順位 | 機種 | 輸出額 |
1位 | トラクター | 13,174,864 |
2位 | ベーラー | 1,843,202 |
3位 | 刈払機 | 261,996 |
4位 | 芝生刈込機 | 208,691 |
5位 | モーア等の草刈機 | 144,147 |
タイへのトラクターの輸出額は大部分を占める約132億円となっています。
近年、タイでは徐々に農家の高齢化が進みはじめ、農業の機械化が進んでいます。
トラクターは新車で購入する以外にも、中古、レンタル、代行業者を利用する農家が多いため、トラクターの需要は高いものとなっています。
また、タイでは農作物の生産量増加や輸出が好調なことなどを背景に、タイへのトラクターの輸出が年々増加しています。
フランスの主な農作物は、小麦、てん菜(砂糖の原料)、トウモロコシ、大麦などの穀物です。
また、ワインの原料ともなるブドウの生産においても世界で有数の生産量を誇ります。
フランスといえばパリなどの街並みを想像しますが、実は国土の約50%が農業用地となる農業が盛んな国です。
EU全体の20%の農業生産額を占め、EU最大の主要農業大国です。
フランスへの農業機械輸出額ランキング(2022)
単位:1,000円
順位 | 機種 | 輸出額 |
1位 | トラクター | 8,196,762 |
2位 | 芝生刈込機 | 2,140,894 |
3位 | 刈払機 | 1,229,648 |
4位 | チェーンソー | 971,275 |
5位 | モーア等の草刈機 | 117,048 |
フランスへのトラクターの輸出額は約82億円となります。
もともとトラクターの流通量は世界屈指で、2005年では世界で第3位の台数を記録しています。
そして、2022年には日本はヨーロッパの中で最も多くのトラクターをフランスへ輸出しました。
地域別農機具輸出額ランキング(2022)
単位:1,000円
順位 | 地域 | 輸出額合計 |
1位 | 北米 | 208,347,546 |
2位 | アジア | 69,812,717 |
3位 | ヨーロッパ | 49,265,277 |
4位 | オセアニア | 11,671,843 |
5位 | 中南米 | 8,002,818 |
6位 | アフリカ | 2,068,555 |
7位 | NIS | 545,981 |
8位 | 中近東 | 435,722 |
世界合計 | 350,150,459 |
※日農工が公開している財務省の統計資料では、北米はアメリカとカナダのみで、メキシコ等は中南米としています。
2022年の地域別の輸出額では、北米が第1位で約2,083億円となりました。
北米への輸出額は全体の約60%を占めています。
2位はアジア、3位はヨーロッパとなりましたが、大きく差をつける結果となりました。
地域別で比べると、北米、アジア、ヨーロッパが主要な輸出先ということがわかります。
単位:1,000円
順位 | 機種 | 輸出額 |
1位 | トラクター | 260,574,623 |
2位 | コンバイン | 13,037,493 |
3位 | 刈払機 | 12,561,326 |
4位 | 芝生刈込機 | 10,713,543 |
5位 | 播種機、植付機、移植機 | 9,370,976 |
6位 | チェーンソー | 6,833,145 |
7位 | 除雪機 | 3,220,332 |
8位 | モーア等の草刈機 | 3,049,634 |
9位 | 耕運機 | 2,920,515 |
10位 | ベーラー | 2,563,624 |
11位 | 果実・野菜等の洗浄用選別用等機械 | 1,393,960 |
12位 | 草刈機 | 1,131,463 |
13位 | その他の収穫機 | 1,060,709 |
14位 | 動力噴霧機 | 830,757 |
15位 | 種穀物の洗浄用選別用等機械 | 530,374 |
第1位 トラクター「約2,605億円」
日本から輸出されている農業機械のうち、トラクターがコンバインを大きく突き放して輸出額1位となりました。
トラクターは単価が高いこともあり、馬力ごとで数種類展開されていることから大きく輸出額を伸ばしています。
トラクターの輸出では、クボタ、ヤンマー、イセキが大部分を占め、世界中の農家のもとで活躍しています。
第2位 コンバイン「約130億円」
コンバインが意外にも少ないのは、日本が主に製造しているコンバインの種類が自脱型コンバインであるということが関係しています。
もともと日本の稲の収穫に適するように開発されたコンバインであるため、麦・大豆・トウモロコシなどを中心に生産している国や農家ではあまり使われていません。
コンバインは主に韓国、ベトナム、タイ、中国、台湾、パキスタンなどの主食を米とするアジア地域に向けて輸出されています。
単位:1,000円
順位 | 機種 | 輸出台数 |
1位 | 刈払機 | 472,349 |
2位 | チェーンソー | 342,452 |
3位 | モーア等の草刈機 | 136,347 |
4位 | トラクター | 121,942 |
5位 | 耕運機 | 44,519 |
6位 | 芝生刈込機 | 40,019 |
7位 | 動力噴霧機 | 23,653 |
8位 | その他の防除用農機 | 19,547 |
9位 | 除雪機 | 10,171 |
10位 | 播種機、植付機、移植機 | 5,745 |
11位 | コンバイン | 3,257 |
12位 | ベーラー | 3,024 |
13位 | 草刈機 | 2,908 |
14位 | その他の収穫機 | 2,901 |
15位 | 肥料散布機 | 671 |
輸出台数では刈払機が1位、チェーンソーが2位となりました。
トラクターやコンバインが当然のように上位かと思いきや、意外な結果でビックリした人はいるかと思います。
刈払機などもトラクターと同様に日本製のものが高く評価されているのはもちろんですが、トラクターなどに比べて小型で大量生産しやすく安価であることが要因となり、輸出台数では大きく上回っています。
※農具や農業機械の部品などの数量や輸出額は含めていません。機械のみのランキングです。
農機具の貿易も国際情勢の変化によって大きく影響されてきました。
2008年まで順調だった輸出も2009年にアメリカで起こった金融危機により世界的な大不況の時代となり、貿易に影響を与えました。
その後、2013年~2015年ごろにかけてアジアで日本製農機のニーズが高まりだしてからは、徐々に輸出額を伸ばしていきました。
そして2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大し、またしても大きな影響を受けることになります。
一時ロックダウンを実施する国もあり、世界的に貿易が減少した年となりました。
しかし、それも束の間。コロナの影響から需要が増加した農業機械があり好転することになります。
郊外に引っ越す人やテレワークが中心となった人が増え、海外ではガーデニングなどの用途で小型のトラクターや草刈機を購入する人が増えました。
また、ある国では日本製の乗用管理機を用いて街中の消毒を行うなど、多方面で農業機械の需要の高まりを見せはじめました。
その後は、世界経済も徐々に回復の兆しを見せ、2022年にはここ十数年の最高輸出額「約3,501億円」を記録しました。
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