更新日2023年08月05日
トラクターは、広い田畑を効率よく耕すことができる農業において欠かせない農機具です。
メインの作業はロータリーを付けた耕うんですが、作業機械(アタッチメント)を付け替えることであらゆる作業にも対応できます。
代かき、整地、畝立て、マルチ張り、畦塗り、肥料や農薬の散布、草刈りなどが行えます
また、もともと「けん引車」の意味であるトラクターはトレーラーなどを取り付ければ運搬作業も行えます。
キャビン付きや馬力が高くなるほど高額となりますが、充実したオプションと高いパワーにより農作業の効率アップが望めます。
日本で初めて国産のトラクターを開発したのはクボタで、1960年に畑作用乗用トラクター「T15形」を発表しました。
当時、軽量でありながら15馬力を有したトラクターの登場には大きな注目が集まりました。
現在、国産のトラクターは15~100馬力前後のものが主流で、クボタでは最大170馬力、イセキでは国内最大の280馬力のトラクターが販売されています。
海外から輸入された海外メーカーのトラクターは、100馬力以上の大型のラインナップが豊富で、広い圃場をもつ北海道などの農家の方に使用されています。
日本では、国内メーカーのクボタ、ヤンマー、イセキ、三菱マヒンドラ農機の4社、海外メーカーのジョンディア、マッセイファーガソン、ニューホランドの3社のトラクターが主に流通しています。
コンバインは、米、小麦、大豆、トウモロコシなどの穀物の「刈り取り」「脱穀」「選別」の3つの作業が1台で行える農機具です。
もともとコンバインは、歩行型の刈り取り専用の「バインダー」、据置き型や自走式の「脱穀機」、据置型の唐箕(とうみ)と呼ばれる「選別機」の3つの農機具に分かれていました。
それが、コンバインの登場により1台で完結、大幅な時間短縮となり農家の負担は劇的に軽減されました。
コンバインには「自脱型コンバイン」と「普通型コンバイン」の2種類があり、収穫する穀物によって使用するコンバインが変わります。
米と小麦には自脱型、それ以外の大豆やトウモロコシなどの穀物には普通型が使用されます。
実は、自脱型コンバインは日本で生まれたものになります。
日本で最初に導入されたコンバインは、欧米から輸入された「普通型コンバイン」でしたが、脱穀方式が日本のお米には不向きで最適なものとは言えませんでした。
そこで、日本の農機具メーカーのイセキは、1966年に日本初となる自脱型コンバイン「フロンティア HD50」を発表し、1967年には販売を開始しました。
現在、日本でコンバインを製造している主なメーカーは、イセキ、クボタ、ヤンマー、三菱マヒンドラ農機の4社になります。
田植機は、稲の苗を水田(田んぼ)に植える農機具です。
アタッチメントを付ければ、田植えと同時に防除剤や肥料を散布できる機能などを増やすこともできます。
また、田植機は歩行型と乗用型があり、現在では使用されているほとんどの田植機が乗用型のものになります。
植え付け方式は、「クランク式」と「ロータリー式」の2種類があります。
クランク式は1回の動作で1株を植え付けるのに対して、ロータリー式は1回の動作で2株を植え付けることができます。
ロータリー式の方が約2倍のスピードで田植えが完了するので、その分価格は高くなっています。
現在、日本で田植機を製造している主なメーカーは、クボタ、ヤンマー、イセキ、三菱マヒンドラ農機の4社になります。
耕運機は、主に田畑を耕すための歩行型の農機具です。
作業できる内容としてはトラクターと似ていて、乗用できない小型のトラクターというイメージになります。
小型で小回りが利くことから、トラクターでは作業しづらい狭い農地や家庭菜園程の規模で使用するなら耕運機が適しています。
耕運機のタイプは、「車軸ロータリー式」「フロントロータリー式」「リアロータリー式」の3つに分類されます。
特にリアロータリー式は、耕うん能力が一番高く、現在では主流となっています。
また、アタッチメントの付け替えができる機種では、畝立て、除草、整地、マルチ張りなどの幅広い作業にも対応可能です。
最近では多機能な耕運機が増えたことで、管理機との明確な境界線がなくなりつつあります。
現在、日本で耕運機を製造している主なメーカーは、クボタ、ヤンマー、ホンダ、イセキ、三菱マヒンドラ農機などになります。
管理機は、その名の通り田畑の土や作物を管理するための歩行型の農機具です。
アタッチメントを付け替えることで、畝立て、除草、中耕、マルチなどの様々な作業を行うことができます。
近年では、耕運機の進化により、あまり区別がつかなくなってきた管理機ですが、耕運機との違いが2つあります。
1つは、ネギやイチゴなどの1種類の野菜専用の管理機があるということ。
そしてもう1つは、乗用型があるということです。
乗用型管理機は、主には広範囲の防除や肥料の散布を目的として製造されていますが、メーカーによってはアタッチメントの変更ができるものもあり、歩行型と同じような幅広い作業をより効率的に行うことができます。
現在、日本で管理機を製造している主なメーカーは、クボタ、ヤンマー、イセキ、ホンダ、三菱マヒンドラ農機、マメトラ農機、オーレックなどになります。
運搬車は、米袋、収穫物、肥料などの様々なものを運搬する農機具です。
少しの距離であっても何度も重いものを持っての移動は大変なもので、運搬車を導入されている農家の方は多くいらっしゃいます。
運搬車には「クローラータイプ」と「ホイールタイプ」の2種類があり、斜面や足場の悪い場所を多く移動するならクローラータイプ、平地で広い範囲で移動するならホイールタイプが適しています。
また、荷台の形式にも種類があり、「固定タイプ」「手動ダンプ」「油圧ダンプ」「リフトダンプ」などがあります。
油圧ダンプやリフトダンプになるとより高価にはなりますが、荷台の上げ下げが自動でできるのでさらに体の負担を減らしてくれます。
現在、日本で運搬車を製造している主なメーカーは、クボタ、ヤンマー、筑水キャニコム、共立(やまびこ)、アテックス、サンワ、ウインブルヤマグチなどになります。
温湯殺菌専用機は、種籾を60℃前後のお湯で一定時間浸し、殺菌・消毒するために使用する農機具です。
種籾の消毒は、種籾に寄生する菌による「いもち病」などの予防に必要なことです。
消毒剤を使って消毒する方法もありますが、無農薬で栽培するためには温湯消毒が必須になります。
催芽とは、種の状態から発芽を始める状態にすることをいい、催芽機(催芽器)は種を温水に浸して催芽を促進させる農機具になります。
特に水稲栽培を行う米農家に使用され、使用することで発芽までの時間短縮と発芽のタイミングを揃えることができます。
催芽機使用後、水分を含んだ種籾を脱水させるために使用する農機具です。
脱水を行うことで発芽の進行を抑えるとともに、種まきの際にくっつきを防止します。
脱水機がない農家は種籾を広げて乾かすか、家庭用洗濯機の脱水機能で代用しています。
播種機とは、種まきをする機械のことで、メーカーや機種によっては「シーダ(シーダー)」とも呼びます。
また、作物によって使用する播種機の種類が異なります。
畑に直接種をまく作物の場合は、車輪が付いた人力の手押しタイプの播種機やトラクターのアタッチメントとして取り付けるタイプの播種機を使用します。
育苗が必要なお米の場合は、据え置きタイプの播種機を使用し、機械に苗箱をセットしするだけで、自動で土を敷き詰め、種まきを均一に行ってくれます。
育苗器(育苗機)は発芽器(発芽機)ともいわれ、催芽、脱水、播種の後、種籾を人工的に発芽させるために使用する農機具です。
育苗器の中に種籾を敷き詰めた苗箱をいくつも積込み、蒸気と温度を管理して発芽を促します。
苗箱洗浄機は、その名の通り田植えで使い終わった苗箱を自動で洗ってくれる洗浄機です。
苗箱には土や根がこびりついて、何十~何百箱も手洗いとなるとかなりの重労働ですが、洗浄機のおかげで短時間で終わらせることができるようになりました。
バインダーは、稲の「刈り取り」と「結束」を同時にこなす農機具です。
簡単にいえば機能が刈り取りのみとなった小型で歩行型のコンバインというイメージです。
手押しで稲を刈り取っていき、稲が一定の量になったら束にしてまとめてくれます。
コンパクトで小回りが利くため、中山間地域や狭い圃場を持つ農家の方に使用されています。
脱穀機は「ハーベスター」ともいわれ、収穫した稲の穂先から籾の部分だけを分離する(脱穀)ための農機具です。
現在では、自脱型コンバインが普及しコンバインの中で脱穀ができるようになったため、脱穀機を使用されることは少なくなりましたが、バインダーを使用されている農家の方には必須の農機具になります。
穀類搬送機は、籾を収集するコンテナとホースが一体となった農機具です。
軽トラックなどの荷台に設置し、コンバインから籾を移し替え、運搬した後にホースから籾を乾燥機に送り込みます。
穀物乾燥機は、脱穀後の籾を乾燥するために使用する穀物専用の乾燥機です。
穀物乾燥機がない時代は、天日干しをして自然乾燥をしていました。
現在では、穀物乾燥機によって、天候に左右されないため仕上がりは均一になり、短時間で乾燥させることが可能になりました。
籾摺り機は、乾燥が終わった籾から籾殻を取り除き玄米にする農機具です。
籾殻の除去に加えて、割れたお米と正常な玄米との選別まで行えます。
精米機は、玄米から糠(ぬか)と胚芽(はいが)を取り除いて白米にする農機具です。
業務用の精米機だけでなく、街中で見かけるコイン精米機や家庭用精米機などもあります。
米袋昇降機は、袋詰めにしたお米を持ち上げて運びやすくするために使用する機械です。
キャスター付きでフォークリフトのように使用できるものもあります。
脱芒機とは、芒(のぎ、のげ)と言われる種籾の先端から出ているひげのようなものを取り除く農機具です。
脱芒は、播種機の引っ掛かりを防ぎ、ムラなく種まきをするために必要な作業になります。
粗選機は、籾摺り前に使用するもので、藁や小石などの異物を選別し取り除く農機具です。
籾摺り機に通す前に使用することで、異物によって起こりうる籾摺り機の故障を防ぐ目的もあります。
石抜機は、玄米の中に混じった小石を取り除く農機具です。
機械の中に玄米を流し込み、網の上で振動させ比重の重い石を選別して取り除く仕組みです。
石抜機と精米機が一体となったものも販売されています。
米選機は、ごみやくず米(欠けた米、未熟米など)などを選別し取り除き、最終的なお米の品質を向上させるために使用する農機具です。
米選機には、自動選別計量機、色彩選別機、光選別機などの種類があります。
自動選別計量機は、米選機の機能に加え、選別し終えたお米の計量も自動で行う農機具です。
本体と一体となったはかりの上に米袋を置き、その中へ選別されたお米が排出されていきます。
色彩選別機や光選別機は、籾、青米、乳白米、ヤケ米、カメムシの被害に合った米などを選別し取り除く農機具です。
高性能なカメラでお米一粒一粒を捉え、不良のお米や異物があった時は、圧縮した空気で弾き飛ばして選別します。
色彩選別機や光選別機の登場により、選別の精度が上がり飛躍的にお米の品質が向上しました。
野菜移植機は、野菜の苗を畑に移し植えるために使用する農機具です。
玉ねぎやジャガイモなどの一つの野菜専用のものや、いくつかの野菜に対応している汎用性が高いものがあります。
お米の場合は田植機と呼び、野菜移植機の見た目も少し田植機と似ていて、歩行型と乗用型の2種類があります。
野菜収穫機は、その名の通り野菜を収穫するための農機具です。
1種類の野菜専用の収穫機となっていて、人参、たまねぎ、キャベツ、大根、枝豆などの収穫機があります。
野菜収穫機をクボタ、ヤンマー、イセキの3社で比較すると、種類の多さではヤンマーが一番豊富に取り揃えていて、野菜移植機と同様に歩行型と乗用型の2種類があります。
野菜調製機とは、洗浄、皮むき、根切りなどをする農機具です。
大部分の野菜は収穫されたままの状態で出荷されることはありません。
出荷までに野菜を適切な処理をする作業を「調製」といい、野菜それぞれに専用の機械があります。
ほうれん草なら根をカット、たまねぎなら根と葉をカット、ネギでは皮を少しむいて上部の余分な葉をカットするなど様々な処理がされます。
刈払機は、道路脇やあぜ道などに生い茂った雑草を刈り取る機械です。
刈払機として主に分類されるものは、主に肩掛け式や背負式のようなタイプの手に持って使用する小型の草刈機になります。
動力は電気(充電式・コード式)とエンジンの2種類があり、パワー・重量・使用時間・静粛性などに違いがあります。
草刈機は、刈払機と同様に雑草を刈り取る機械です。
草刈機には刈払機のタイプも含め、手押し式、自走式、乗用型などの複数の種類があるため、広い範囲で草刈をするのに適しているものが多くあります。
また、草刈機には細かな定義がなく、刈払機や芝刈機を含めた草刈の機械の総称ともされています。
芝刈機は、その名の通り芝を刈り整えることを目的とした機械です。
草を刈るということに関しては刈払機や草刈機と同じですが、用途としては庭やグラウンドの芝生の長さを整えるためのものになります。
芝刈機には手押し式、自走式、乗用型があり、すべて車輪付きのため、広い場所であっても楽に作業が行えます。
防除機(ぼうじょき)とは、除草剤・殺虫剤などの農薬の散布や消毒などを行う農機具です。
噴霧器は、タンクに入れた薬剤をノズルの先端から噴霧し、農薬などを散布する農機具です。
動力は手動式、電池式、充電式、電気式、エンジン式のものがあります。
噴霧器のタイプには肩掛け式、背負式、セット式、キャリー式、自走式と様々なものがあります。
ブームスプレーヤは、トラクターのアタッチメントとして搭載し、左右に伸びた2本の「ブーム」と呼ばれるレールから広範囲に薬剤を散布します。
キャビン付きのトラクターであれば、作業中の農薬の吸い込みのリスクは少なく安全に使用できます。
乗用管理機は、田植機のような形をしていて、薬剤散布のブームが一体となったものになります。
丸山製作所が業界で初の乗用管理機を発売して以降、日本で普及が進み、国内の農業に大きな貢献をもたらしました。
スピードスプレーヤは、小型の車の形をした乗用型のものやトラクターでけん引するタイプのものがあります。
主に、リンゴやブドウなどの果樹園で害虫の防除や消毒を目的とし、後部のファンから薬剤を拡散させ広範囲に散布できます。
ドローンといえば空撮するもののイメージが強いですが、農業で使用するドローンは薬剤のタンクと噴霧するノズルが付いた農薬散布を目的としたものになります。
近年では、ドローンの登場により、作業時間の短縮や遠隔操作により農薬の吸い込みのリスクが抑えられることから、注目が集まっています。
また、農薬だけでなく肥料も上空から散布することができます。
ロールベーラーは、刈り取られた藁や干し草を集め圧縮して円柱状に固めることができる農機具です。
自走式のタイプとトラクターのアタッチメントとして装着してけん引するタイプがあります。
多くの家畜を抱える畜産家や酪農家が主に使用しています。
低温貯蔵庫は、お米や野菜の品質を保つための使用する保冷庫です。
玄米を貯蔵する場合、最適温度は15℃以下とされ、カビの繁殖や害虫の発生などを抑えることができます。
集塵機は、乾燥機から排出されるゴミやホコリなどをまとめることができる機械です。
衛生環境の向上や粉塵の吸い込みなどによる健康被害を出さないために使用されています。
チッパーは、「粉砕機」や「裁断機」ともいわれ、藁、枝葉、木材など細かく砕き、シュレッダーのように処理をする機械です。
一般的な農業ではあまり使う場面がありませんが、果樹園を営む農家は木の剪定後にでた枝の処理などで使用しています。
コンプレッサーは、圧縮した空気を一気に噴射することができる機械です。
使用用途は様々で、色彩選別機で異物を飛ばしたり、野菜の皮むきに利用したりします。
また、コンプレッサーはコンバインや籾摺り機といった機械内部の手の届かない場所の清掃にも役立ちます。
高圧洗浄機は、電気やガソリンの力で水圧を高め、勢いよく水を噴射して洗浄できる機械です。
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